商標調査で気を付けるべき類似の判断

商標調査

海外商標の調査を行う上で、類似の判断を行うことは、一国の類似判断の基準をある程度知っている人にとっても、国毎に判断の基準が異なるので、類似か否かを判断をすることはかなり難しい。

 

ここでまず、初心者に知っておいてほしいのが商標の類似判断と言ったら、商品又は役務の類似の判断と、商標の明示判断の両方があると言うことです。

まず商品、役務が類似していなければ、商標の類似は考えなくてよいからです。

以下、商品又は役務の類似と、商標の類似とをそれぞれ判断の仕方を説明していきます。

 

商品又は役務の類似について

(1)商品役務の類似基準

商品又は役務の類似判断は、類似群の範囲を類似範囲ととらえるのが、まず普通です。
しかし、国によっては、違う類似群との間でも類似関係とみるものもあるので、そこは例外もあると考えおて、少し広めに考えておいた方が良い場合も、あります。

しかし、通常は類似群の範囲で考えますので、あくまでも基本は類似群が一つ違えば、もう類似しない商品・役務ということです。

ちなみに類似群というのは、その国の商標を扱う官庁が審査の便宜のために、定めているもので、国毎に違う場合が多いです。

そして、国によっては、必ずしも定まっていない場合もあります。

そういう場合は、同一の商標が違う商標権者に併存登録されている場合は、その商品又は役務は類似しないと判断されているのだろうと推測することができます。

そのように一つの商標を調べながらその周辺を探っていくわけです。

もっとも、商標のグローバル化により、最近は商標の類似判断の基準も国際的に統一されつつあるので、国毎の類似判断の基準は似てきている傾向にあります。

 

(2)各国の特徴

a.中国で国際分類を踏襲しつつも各商品や役務の名称やその類似群の分け方は独自の国内分類の基準を基本に使用しています。類似群は、日本語訳が販売されていますので、それを参考にすればよいですし、中国の商標庁のデータベースで検索された少々の商品及び役務とその類似群が出ていますので、それを参考にするのも良いです。

b. 米国の特徴としては、日本ではひとくくりで類似とされてしまうようなものでも用途が違えば非類似とされる場合が多く、商品又は役務の類似がより細かく類似設定されていると言えます。

例えば、コンピュータプログラムという商品は日本ではそのまま登録されますが、米国ではコンピュータプログラムがさらに細分化され、用途が異なれば類似しない商品として登録されます。例えば、ゲームプログラムとデータベースプログラムは類似しない商品と判断されています。

一方中国の商標は類似の範囲が広く、日本では類似の商品とされない、業務用テレビゲーム機用ソフトと、パソコン用ゲームソフトが同じ類似群として分類されています。

c. マドプロ国際出願では、商品の類別表に沿って、細かく分類されていますので、この範囲であれば、各国でも類似と扱われる可能性が高いなどと判断することはできます。但し、あくまでも各国の類似判断はその国毎なので、あくまでも参考にすぎません。

d. 審査能力の低い発展途上国の場合は、先進国での審査結果に基づいて、審査を行う傾向が高いので、その国よりその国の参考になるであろう先進国の判断の基準を考えればよいでしょう。

 

2. 商標の類似について

(1)日本の類似判断と各国の類似判断の違い

商標の類似判断はその商標の外観、称呼、観念のいずれか一つが類似する時は類似すると判断するというのが、日本の特許庁の類似判断の基準ですが、基本的には、海外の商標の類似判断も同じような判断です。
但し、日本においては称呼類似が一番多く判断されやすいですが、外観又は称呼が似ていても、観念が異なれば非類似とされる場合も結構あります。

(2)類似判断の具体例

a. 日本では漢字の2文字の上下を入れ替えたものは非類似と判断されることが多いですが、中国、台湾、香港などの中華圏では、漢字の上下の入れ替えの商標は基本的に類似と判断されます。

b. ABCの商標が登録されている場合にABCにDを足したABCDの商標は、米国や欧州では非類似と判断される場合も多いですが、オーストラリアやインドなどでは、類似と判断されることが多いように思います。オーストラリアやインドは類似の範囲が広いと考えられます。

 

3.まとめ

以上、いろいろ述べて来ましたが、併存登録されている商標がいるか否かで、商品、商標の類似がどのように判断されているかを読み取るというのを基本にすると良いと思います。

また、商標の類似概念は法制度の変遷や時代の推移によって変化する流動的概念ですので、数年前の認識にとらわれず、今のこの国の類似判断はどうなっているだろうと言うことを先入観を持たずに判断する必要があります。

長々と述べましたが、類似の調査をする方の一助となれば幸いです。

 

なお、自分で類似判断をするのは難しいと判断されたときは、やはり現地の代理人に調査を依頼して判断を仰ぐのが一番です。

弊社では、海外の代理人への調査の仲介も承っております。

海外代理人の調査結果に弊社のコメントを添えて、調査報告を致します。

ご希望の方は以下からお願いいたします。

 

お問い合せはこちらから⇒ 

 

HOME

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました